『 最強の野菜スープ 』レビュー

本を読む

熊本大学名誉教授の前田浩さんの『 最強の野菜スープ 』がとてもためになりました。

前田さんは抗がん剤の研究でノーベル化学賞候補に挙がる研究者で、「がんの予防には野菜スープを食べるのが一番」と断言しています。

  

私はスロークッカーを購入したことをきっかけにして「スープを常備したいな」と思うようになりタイトルに惹かれて読んでみました。そうしたら、野菜はサラダよりスープにすると抗酸化物質が100倍にもなるとわかり俄然やる気になりました。

  

野菜スープは猛毒の活性酸素を消す物質の宝庫

まず活性酸素はがんをはじめ、ほとんどの病気や老化に密接に関わっています。活性酸素は紫外線、放射線、化学物質、呼吸で取り入れた酸素やたばこ、食品添加物などあらゆるものから発生して細胞や遺伝子を攻撃します。

「食品添加物って具体的に何が悪いの?」とよく知りませんでしたが活性酸素を発生させるから悪いのか。

  

動物は酸素がないと生きていけませんがそもそも酸素は猛毒なんですよね。酸素を利用して生きていくように進化したから地球で暮らせていますがなんともデンジャラスな星です。

頑丈な鉄も酸化して錆びるとボロボロにもろくなって崩れます。人間も時間とともに体が酸化(老化)して死にます。

そんな体を老化に導く活性酸素ですが、野菜に含まれる抗酸化物質がその害を防いでくれるというのがこの本の趣旨です。

  

  

活性酸素を消去する野菜の抗酸化物質

1.ファイトケミカル

植物の色素香り渋みアクなどの成分。これを読んで「スープにするときもしかしてアクって取らなくていいのかな?」と思いました。肉類を入れた時はさすがに取りたい。

ファイトケミカルは植物由来の化学成分で、その数は1万種を超え、その9割は野菜や果物などの植物性食品に含まれているそうです。もちろん植物由来なので人間がファイトケミカルを体内で合成することはできません。だから野菜を食べろと言うんですね。

  

ポリフェノール

強力な抗酸化力を持つ黄色い色素で4000種類以上ある。玉ねぎのケルセチン、お茶のカテキン、ブルーベリーや赤ワインのアントシアニンが代表。

カロテノイド

赤やオレンジ、黄色の色素であるカロテンの一種。にんじんやかぼちゃ(β-カロテン)、トマト(リコピン)、春菊、ほうれん草やブロッコリー(ルテイン)など緑黄色野菜に豊富に含まれる。

イオウ化合物

にんにくやネギ、ワサビなどの辛み成分や香り成分。強力な抗酸化作用と抗菌作用を発揮する。

においを気にしていましたがこれを読んでにんにくもスープにぜひ入れようと思いました。

  

ブロッコリーやケールなどアブラナ科の野菜に多いスルフォラファンは、発がん物質を解毒する酵素を誘導します。

同じくポリフェノールの一種で、トマト、ピーマン、ニンジンに含まれるP-クマル酸、クロロゲン酸は、がんを促進するホルモンの働きを阻害します。

がんは増殖するときに新しい血管を作って、栄養を取り込みます。フラボノイドの一種である大豆のイソフラボンは、血管の増殖を阻む働きがあり、特に前立腺がんの増殖を抑えます。

前田浩『最強の野菜スープ』p.72

  

2.ビタミンA・C・E

抗酸化ビタミンのエース(ACE)はよく聞きますね。ビタミンAとEは油に溶ける性質があるので、野菜スープにする際にまず油でちゃっと炒めます。

で、ビタミンの効果より何より衝撃的だったのがビタミンCの単独摂取についての話です。もうサプリ飲むのやめました。ビタミンCは活性酸素を消去すると、自ら活性酸素(ビタミンCラジカル)になってしまうそうです。ビタミンCに活性酸素を消去してもらうはずが自ら活性酸素になるだと?

例えばマウスを用いた実験ではβ‐カロテンは紫外線による皮膚がんの予防に有用であると証明されましたが約3万人のヘビースモーカーの男性を対象にしたフィンランドの研究ではβ-カロテンを単独で投与した群で肺がんや前立腺がんのリスクが高まるという想定外の結果が出たそうです。別の研究でもビタミンCの単独投与も発がんを促進することがわかり、少なくとも単独投与はがん予防どころかリスクが高まるそうです。

  

ここでビタミンCラジカルについてググったところ酸化したビタミンCがまた還元型に戻るという記述を見つけました。

ビタミンCは活性酸素・フリーラジカルと反応してその毒性を弱め、自身は反応性の低いフリーラジカル(酸化型)になりますが、これらもビタミンCやリポ酸によってもとの還元型抗酸化物質に再生されることが知られています。

天神橋みやたけクリニック「ビタミンCの抗酸化作用」より

前田さんの本にもいくつもの抗酸化物質が働きを補い合ったりすることで効果を高めるとあるので、食物から摂る分にはビタミンCは良いことしかなさそうです。

単独摂取を考えても上記の引用元の記述にビタミンCラジカルがまたビタミンCによって抗酸化物質に再生されるとあるので害がなさそうではあるんですよね。

ただマウスではなく人の実験でビタミンC単独投与で発がんを促進があることを考えるとサプリを買うことはやめようと思いました。そのお金でおいしいトマトを買った方が間違いない気がします。

   

「ビタミンCは熱に弱い」は誤解

ビタミンCの話になったので加熱する弊害はないのかを書きます。私も最初にサラダよりスープと聞いてビタミンが壊れてしまうのではと疑問に思いました。その疑問に答える形で、ビタミンCが加熱によって壊れるというのはあくまでビタミンC単体を加熱した場合ということを知りました。

野菜は他の様々な抗酸化物質の働きでビタミンCが安定しており分解されにくい上、ビタミンCは水溶性なのでスープを飲んでしまえば溶けだした分も摂れてしまいます。

これはお茶にも言えるそうです。製造過程で茶葉を加熱し、さらにお湯で淹れますがお茶はビタミンCを豊富に含んでいます。

  

3.グルタチオン

グルタチオンは、猛毒の脂質ラジカルを消去してがんや炎症を予防します。グルタチオンの抗酸化作用は、慢性肝炎、白内障、口内炎、皮膚炎、潰瘍、動脈硬化の治療薬に活用されるほどです!だから本に白内障が改善した話がでてきたのか。

グルタチオンはパセリ、ブロッコリーの花の部分、ほうれん草に100g中12~16㎎と多く含まれています。ピーマン、ブロッコリーの茎、カリフラワー、じゃがいもにも100g中4~7㎎含まれています。

ここでまた抗酸化物質のリサイクルの話がでてきました。なんとグルタチオンはビタミンCラジカルを中和して元のビタミンCに戻して抗酸化能力を復活させるそうです。えーよくできてる。ビタミンC利用され尽くしてるというかいつになったらラジカル止まりになるの。ビタミンCだけたくさん存在するとリサイクルできなくて活性酸素で終わるのかな。

そしてグルタチオンは体内でも生成されるそうですが加齢とともに減るので野菜スープでとりましょうとのことです。なんならファイトケミカルもグルタチオンを増やす働きがあるそうです。協力関係がすごい。

   

サラダでは有効成分は未消化のまま排泄

さて、野菜の抗酸化物質の働きを知ったところで健康にいいとされる生野菜の話です。生野菜を噛んだり包丁で刻むくらいでは大半の細胞壁は壊れず中に入っているファイトケミカルを吸収することはできません。なんてもったいない。

そういえば中学で植物の細胞壁を習った頃、野菜を噛むたびに教科書の細胞壁のイラストを思い出してあれをシャキシャキ壊していると思いながら食べていました。壊すイメージで食べてもファイトケミカル出てきてなかったんですね。

  

野菜を茹でるだけで細胞壁はあっけなく壊れファイトケミカルがスープに溶けだすそうです。面白いのが活性酸素を消去する働きは生野菜をすりつぶしたものより、野菜を煮出したゆで汁の方が10~100倍強いことが明らかになっているとのこと。すりつぶしたら壊れて一緒のような気もしますが全然違うようです。

これは本に表が載っており、比較的小さな差の野菜もあるんですが(にら、ピーマン、にんじん、かぼちゃ)、しそ、レタス、三つ葉、春菊などぶっちぎって増えている野菜もあって驚きます。しそやレタスって生で食べることが多いのでもったいなさ過ぎる。なんならレタスって栄養あまりないと思っていました。抗酸化力の強さだけで見ても赤しそ、青しそ、レタスの順で高く、意外過ぎます。家でしそ育てるの再チャレンジしよう。

  

   

ウイルス感染という場面で、宿主を殺すのはウイルスではなく活性酸素

p.77のコラムに今の時期に関係しそうな話がありました。

インフルエンザに感染したマウスが死ぬとき体内にインフルエンザウイルスが全く存在しなかった。なぜマウスは死んだのか?調べた結果、スーパーオキシドという活性酸素が肺に大量に発生して肺炎が起こっていた。ウイルスなどの外的が侵入してくると、免疫をつかさどる白血球がウイルスを殺傷するために活性酸素をどんどん作り、これをウイルスに向けて撃ちまくる。肺もダメージを受けた。

ウイルスは引き金で合って、マウスが死んでしまったのは活性酸素が原因ではないかという仮説のもと、活性酸素を消去する物質をマウスに与えると95%が生存したそうです。

体を守ろうとする免疫の反応が過剰になり、活性酸素の破壊力が増すことで、肝炎、胃炎、アトピー性皮膚炎などの炎症性疾患が引き起こされます。

  

ウイルスを殺すために自分自身にも有害な活性酸素を使っているのは抗がん剤となんだか似ていますね。コロナでも免疫が暴走するサイトカインストームの話が出てきます。コロナウイルスで亡くなるというよりは活性酸素に攻撃されてダメージを受けてしまうんでしょうね。野菜スープ飲もう。

   

鉄分の過剰摂取は避けよう

個人的にすごく気になる項目です。隠れ貧血というワードが少し前から結構話題じゃないですか?生理がある女性はしっかり鉄分を摂らないといけないという認識でした。特に日本はヘモグロビンしか見ないので貧血大国と言われるくらい。

  

過剰な鉄分は過酸化脂質と反応し、がんを引き起こす脂質ラジカルを発生させることが明らかになっています。アメリカの調査では血液中の鉄とLDLコレステロールの濃度が高いほどがんによる死亡が多いことが報告されています。だそうです。

なんならスープを作る際の20分野菜を煮出す際に鉄の鯛を入れてます。確かに病院で出された鉄剤を飲んでいた時は胃がむかむかしたり、真っ黒な便になって出しづらかったりと「これ逆に体に悪くないの?」と思っていました。おそらくフリーラジカルによる副作用です。なので副作用の少ないフェリチン鉄のサプリを飲んでいたんですがどうなんでしょう。

私が使っている鉄の鯛、通称鉄玉子と呼ばれる南部鉄器の塊は、煮出してもごくわずかな鉄分しか出ないうえ、二価鉄という吸収されやすい鉄分だと言われています。

鉄玉子 鯛

体内で三価鉄が二価鉄に変わる際にフリーラジカルが発生するといわれているので大丈夫な気がする。

鉄は調べるほど謎が多いので難しいです。フリーラジカルが発生しないとされるフェリチン鉄もまだメジャーな商品じゃないので謳い文句が販売元からの情報でいまいち安全性がわかりません。

  

野菜スープの作り方

基本一口サイズにいろんな野菜を切って、蓋をして火にかけて、沸騰する前に火を弱めて30分煮るという。30分だったか。

本では味付けなしですが私はコンソメ、中華、みそ汁など自由にやっちゃってます。みそ汁は出汁取ってるので悪いとこないですがコンソメと中華は食品添加物入ってます。ま、野菜入ってるのでいいでしょう!少し毒を食べるのもいいって何かで読んだことあるし。

余った野菜なんでも煮ちゃえばいいので買い物が気楽になりました。買った食材を使い切れないとストレスになるのでお買い得な野菜があっても買うか迷っちゃってましたがもう何も考えなくてOKです。

  

スープ生活をはじめようかなと思っている人、健康にいいことがしたい人におすすめな1冊でした。

  

  

おうちリス

野菜の食物繊維も体にいいよ!つながりでこちらの糸寒天の記事もおすすめです。